東野圭吾の『宿命』は、宿敵との因縁、家族の秘密、そして過去の事件が絡み合うミステリー小説です。
本作では、刑事として生きる主人公と、かつての宿敵であり現在は医者となった男との対立が描かれています。
さらに、2人を取り巻く複雑な人間関係や、過去の事件の真相が明かされていく過程が見どころとなっています。
東野圭吾作品の中でも特に人間ドラマに重きを置いた作品であり、緻密な構成と伏線の回収が見事な作品です。
この記事では、『宿命』のあらすじとネタバレ、物語のテーマや考察、ドラマ版について解説します。
この記事を読むとわかること:
- 『宿命』の基本的なあらすじ
- 登場人物の関係性やストーリーの核心
- 作品に込められた宿命の意味と考察
- ドラマ版や映画の情報について
東野圭吾『宿命』のあらすじ

和倉勇作は、島津警察署の刑事。
ある日、日本屈指の電機メーカー・UR電産の社長である須貝正清が、墓地で毒矢を受けて殺害されるという事件が発生する。
捜査を進めるうちに、勇作はかつての宿敵である瓜生晃彦と再会する。
瓜生は医者となっており、事件の被害者と深い関係があることが判明。
さらに、勇作の初恋の女性・瓜生美佐子が晃彦の妻になっていたことを知り、彼の心に複雑な思いが渦巻く。
事件の背後には、瓜生家に隠された秘密や、かつて勇作が関わったある出来事が絡んでいた。
過去の因縁が現在の事件と交錯し、真相が明かされていく。
東野圭吾『宿命』最後の一行とは?
本作のラストには、読者の印象に残る衝撃的な「最後の一行」があります。
瓜生晃彦と和倉勇作の因縁は、過去の事件によって結ばれており、その繋がりが最後に明かされます。
勇作が問う「先に生まれたのはどっちだ?」という問いかけに対し、晃彦が「君の方だ」と答えるシーン。
これは、二人が実は血の繋がった兄弟であったという衝撃の真実を示しています。
この一文が物語全体を締めくくる重要な意味を持ち、タイトルの「宿命」が最後に深く響きます。
東野圭吾『宿命』の考察

東野圭吾作品の中でも異色のテーマ
『宿命』は、単なるミステリーではなく、因縁や宿敵との関係が深く描かれた作品です。
特に、過去の事件がどのように現在の出来事に影響を及ぼしているのかが巧妙に描かれています。
また、東野圭吾の作風が変わる転換点とも言える作品であり、トリックよりも人間ドラマに重きを置いた物語になっています。
兄弟の宿命と運命の糸
本作では「運命」と「宿命」の違いがテーマになっています。
運命は変えられるもの、宿命は変えられないもの——そういった概念が登場人物たちの人生に深く関わっています。
勇作と晃彦は、過去に遺伝子操作による人体実験の影響を受けた人物の子供であり、実の兄弟であることが終盤で明かされます。
この「見えない糸」によって二人の人生は交錯し続けていたのです。
東野圭吾『宿命』のドラマ版と映画

連続ドラマ『宿命』のキャスト
本作は2004年にWOWOWでドラマ化されました。
- 和倉勇作役:藤木直人
- 瓜生晃彦役:佐々木蔵之介
- 瓜生美佐子役:松雪泰子
ドラマ版では、小説と若干異なる展開が描かれており、原作ファンの間でも話題になりました。
特に、心理描写や登場人物の関係性にフォーカスした演出が特徴的です。
まとめ
- 『宿命』はミステリーと人間ドラマが融合した作品
- 主人公・勇作と晃彦の因縁が物語の軸となる
- 衝撃的な「最後の一行」が読者の心に強く残る
- 兄弟であることが判明し、宿命のテーマが際立つ
- 2004年にWOWOWでドラマ化され、話題となった
- 東野圭吾の作風の転換点となる重要な作品
以上、『宿命』の詳細な解説でした。