アメリカ文学の巨匠ウィリアム・フォークナー。
彼の作品は難解さや複雑な構成で知られていますが、その分、読後の深い感動や発見が得られます。
この記事では、フォークナー作品を初めて読む方に向けて、どの順番で読むべきか、またどの作品が初心者向けかを解説します。
最高傑作と言われる作品や、読みやすい作品もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
- フォークナー作品の最高傑作と評価されるものが何か
- 初心者向けの読みやすい作品はどれか
- 複雑な物語や重厚なテーマに挑戦するための順番
- フォークナー作品が青空文庫で読めるかどうか
フォークナー作品を読む順番とおすすめ作品
フォークナー作品のおすすめの読み順
フォークナーの作品を読む順番としては、初心者向けの読みやすい作品から始め、徐々に難解な作品へ進むのがおすすめです。
以下の順番で読み進めることで、フォークナーの魅力に自然に触れることができます。
「八月の光」 – 読みやすく、フォークナー作品の入口として最適
「響きと怒り」 – フォークナー独自の意識の流れを体験
「アブサロム、アブサロム!」 – 最高傑作と評価される作品で、物語の奥深さを堪能
「野生の棕櫚」 – 比較的読みやすく、人生観やテーマ性を学べる作品
「サンクチュアリ」 – 禁酒法時代の南部を舞台にした暗い物語
これらの作品を順に読むことで、フォークナーのテーマや物語構成の複雑さに徐々に慣れ、彼の文学世界をより深く味わえます。
フォークナーの最高傑作とは?
フォークナーの最高傑作とされる作品にはさまざまな見解がありますが、「アブサロム、アブサロム!」と「響きと怒り」は特に評価が高いです。
「アブサロム、アブサロム!」について
「アブサロム、アブサロム!」は、南部の大農園を築いたトマス・サトペンの人生を中心に描かれた物語で、フォークナー作品の中でも特に複雑な構成とテーマ性で知られています。
語り手が複数存在し、彼らの視点からトマス・サトペンの謎めいた人生が浮き彫りにされていきます。
フォークナーを愛するファンからは「この一冊で彼の文学のすべてが詰まっている」とまで評されており、文学的技法や物語構成に圧倒される作品です。
「響きと怒り」の独自性
「響きと怒り」は、コンプソン家という家族の崩壊を4つの視点から描いた作品で、意識の流れという技法を使用しています。
特に冒頭の知的障害を持つベンジーの視点で進む部分は、理解しづらいと感じる読者も多いですが、この技法が作品全体の魅力を際立たせています。
初心者向けの読みやすいフォークナー作品
「八月の光」:読みやすさとテーマのバランスが良い
フォークナー初心者におすすめの作品は「八月の光」です。
この作品は黒人の血を引く青年ジョー・クリスマスの数奇な運命を描いたもので、フォークナー作品の中では比較的読みやすいとされています。
物語の舞台であるヨクナパトーファ郡は他の作品でも登場する架空の郡で、フォークナー作品全体に一貫する南部の歴史や人種問題がここでも描かれています。
また、文体も比較的明快で、フォークナーに初めて触れる読者でも楽しめる内容です。
「野生の棕櫚」:短編と長編が交互に進行する構成
「野生の棕櫚」は異なる物語が交互に進行する独特の構成で、フォークナーの多様な表現に触れることができる作品です。
長編に挑戦するのが不安な方でも、読みやすいと感じやすいでしょう。
「アブサロム、アブサロム!」は読みにくい?
「アブサロム、アブサロム!」は、時系列が複雑に入り組み、物語を理解するためには読者が内容を整理しながら読む必要があります。
登場人物の関係性や、語り手の解釈が読解の鍵となるため、フォークナー作品の中でも難解とされがちです。
特に次の点で読みにくさを感じる方が多いようです。
- 視点の多重構造:物語が複数の登場人物の視点で描かれるため、情報が錯綜しやすい
- 長い文章:文が長く、構造が複雑なため、意味を捉えづらい部分が多い
- 時系列の複雑さ:時系列が頻繁に前後し、同じ出来事が異なる解釈で描かれる
フォークナーの文体に慣れていない読者は、最初のうちは「八月の光」や「野生の棕櫚」などから読み進め、少しずつフォークナー作品の特徴に慣れると「アブサロム、アブサロム!」も読みやすくなるでしょう。
フォークナー作品は青空文庫で読める?
残念ながら、フォークナー作品は青空文庫にはありません。
青空文庫は著作権が切れた日本の古典文学を主に収録しているため、著作権が残っているフォークナーの作品は含まれていません。
青空文庫以外でフォークナー作品を読むには?
フォークナーの作品は翻訳されているものが多く、書店や電子書籍で手軽に入手できます。
また、図書館にも所蔵されていることが多いため、そちらを利用しても良いでしょう。
まとめ
ウィリアム・フォークナーの作品は、難解さがある一方で、読む価値が大いにある名作ばかりです。
以下に、順番や特徴をまとめましたので、参考にしてください。
- フォークナー作品は初心者には「八月の光」から読むのが最適
- 最高傑作とされる「アブサロム、アブサロム!」は難解だが一読の価値がある
- 読みやすい作品には「野生の棕櫚」や「八月の光」がある
- 青空文庫にはフォークナー作品は収録されていないが、書店や図書館で手に入る
- 複雑なテーマや技法に慣れたら、「響きと怒り」や「アブサロム、アブサロム!」に挑戦するのがおすすめ
フォークナーの文学はアメリカ南部の複雑な人間関係や歴史、社会問題を描きつつ、普遍的な人間性に迫る深みがあります。
ぜひ順番を意識して読み進め、フォークナーの世界を楽しんでください。